ここではつり下げはしごのうち、miniSOSについて述べています。SOSとはご承知の通り、国際的なモールス符号の遭難信号で救助要請の意味で使われます。伸縮式のつり下げはしごなのですが、専用格納箱の工夫によりその定置化を図ったものです。適用高さは最大で約4.67mです。品番についてですが、mini−1○○(ミニハイフォンイチマルマル)で表されます。まえの○には0・1・2のいずれかの数字が入り、これは長さを表します。後の○には1・2・3のいずれかの数字が入ります。1が自在フック1、2が約φ50までのパイプに使える標準的なナスカンフック2、3がφ50以上のパイプ、異形管等又は専用格納箱で使うナスカンフック3をそれぞれ表します。型式番号は以下の通りです。
1. 自在フック1
「は第14−4号」:mini−101、111、121
2. ナスカンフック2
「は第14−4−1号」:mini−102、112、122
3. ナスカンフック3
「は第14−4−2」:mini−103、113、123
では使用主部材の概要を見ていきましょう。
- ①つり下げ金具
- 縦棒の先端に左右各1ヶずつ取り付けます。自在フック1式つり下げ金具(コの字型)とナスカンフック2・3式つり下げ金具をそれぞれ有するタイプがあります。自在フック1は3mmのプレートを加工し、15mmピッチでφ8.5mmの丸穴が13個あります。窓枠やバルコニーの腰壁に掛けるタイプです。工場出荷時で幅約205mm、有効最大幅280mm、有効最小幅60mmです。ナスカンフック2は9mmのプレートを加工し、最大φ約50mmのパイプに対応できます。ナスカンフック3は、9mmと8mmのステンレス丸鋼をそれぞれフックとリングとして加工し、φ50mm以上のパイプや異形管等に対応できます。φ50mm前後のパイプ径の場合、ナスカンフック2と3のどちらを選ぶかは、設置場所の状況に応じてご採用願います。いずれの取付金具もワイヤーロープとつり棒を用いて縦棒に接続されます。
ところで、以前は当ホームページにおいて以下のように記載していました。
「このときご留意いただきたいのが、はしごを使用する時に掛けるパイプの材質です。避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年4月16日消防庁告示第2号)に拠って屋内ならば鉄製、屋外であればステンレス製のパイプでなければなりません。アルミ製等では設置できません。このような場合は当社営業までご相談ください。」
この点についてお客様から「取付け具にバルコニーの手すり(パイプ)は含まれないのではないか」とのご指摘を頂いたので、総務省消防庁予防課宛に問い合わせたところ、口頭でご回答がありました。この点を踏まえて、以前の書き方は誤りですので、以下のように訂正します。
「避難器具を固定部に取り付けるための取付け具(避難器具用ハッチを除く。)は、避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年4月16日消防庁告示第2号)に拠って屋内ならば鉄製、屋外であればステンレス製でなければなりません。アルミ製等では設置できません。ただし、ここでいう取付け具とは緩降機の取付金具やつり下げはしごの取付金具(所謂タオル掛け)をいい、(以下総務省消防庁予防課の回答)バルコニーの手すり等は法令の解釈上は取付け具に含まれません(以上総務省消防庁予防課の回答)。しかしながら、ナスカンフックのつり下げはしごをバルコニーの手すりに設置した場合、事実上はしごの設計荷重が手すりにかかります。そのため、所轄の消防機関によっては、手すりを取付け具とみなし、屋外(直接雨水のかかる場所)にあってはステンレス製にするよう指導される場合があります。また、避難器具の種別変更を指導されることもあります。このような場合は事前に所轄の消防機関までご相談願います。」
- ②縦棒板
- アルミ合金製で断面61.5×57.3mmのアングル状の押し出し型材で作られています。縦棒の間隔は内法寸法で30cm以上50cm以下でなければなりません。当社製は30.5cmの間隔です。
- ③横桟
- 直径14mm以上35mm以下の円形の断面を有するもの又はこれと同等の握り太さの他の形状の断面を有するものでなければならないとされています。当社製は踏み面25mm×高さ17mmのアルミ合金製押し出し型材を使用しています。踏み面に滑り止めの溝を加工してあります。横桟は縦棒に同一間隔で取り付けられ、その間隔は中心寸法で25cm以上35cm以下でなければなりません。当社製は34.0cmの間隔です。
- ④突子(とっし)
- 足の踏み場を確保するのが設置目的です。横桟と防火対象物の壁面との間に10cm以上の距離を保ちます。
- ⑤専用格納箱:セパレートBOX
- miniSOSシリーズ専用の格納箱です。全高さ610mm、上蓋高さ315mm、横幅482mm、奥行290mmで厚さ1mmのボンデ鋼板で作られています。自重約12kgとかなりの重さですが、これは設置場所の定置化を図ることと、オプションの踏み台を利用して使用者の荷重がかかることを想定しています。そのため、他の格納箱に比較して堅牢なものとなっています。
⑥強度試験
「金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令」(昭和40年1月12日自治省令第3号;最終改正平成18年3月9日総務省令第26号)第8条、第9条並びに第10条に準じて行います。但し、以下の文は法令そのものの文面ではありません。分かり易さを優先しておりますので予めご了承ください。必要がある方は官報等の信頼できる情報源にてご自身でお確かめ願います。また、所轄消防機関への届出に際しての強度計算については当社営業担当までご相談願います。
第8条第1項 避難はしごの縦棒及び横桟は、縦棒の方向について、次の表に定める静荷重を加える試験において、永久歪を生じないものでなければならない。
縦棒:最上部の横桟から最下部の横桟までの部分(所謂はしごの有効長のこと)について、2m又はその端数ごとに、縦棒1本につき500Nの引張荷重。
横桟:横桟の1本につき中央7cmの部分に1000Nの等分布荷重。
まず、つり下げはしごは防火対象物の堅固な部分につり下げて使用されます。このため掛かる荷重は主として引張荷重です。縦棒については横桟を支える役割があります。日本人の平均身長が168cmで平均体重が65kgの時代に制定された規格なので、2mにつき一人避難者がいるという前提で考えています。当社製つり下げはしごの縦棒は2本ありますから、50kg×2本で2m又はその端数毎に100kg支えられる計算です。これを例えばmini−101(有効長3.06m)に当てはめて考えると、最低でも、 50kg×2本×2(有効長2m+その端数1.06m)=200kg の荷重に耐えられるように作らないと、国家検定に通らないということになります。
次に横桟ですが、避難者の荷重は最終的に横桟の中央部に掛かります。そこでこの部分について特に等分布荷重試験を行っています。
第8条第2項 避難はしごの縦棒及び横桟は、縦棒の方向について、前項の表に定める静荷重の2倍の静荷重を加える試験において、亀裂、破損等を生じないものでなければならない。
mini−101の事例であれば、結局のところ、
200kg×2倍=400kgの静荷重に耐えなければならないということになります。
第8条第6項 縦棒及び横桟の取付箇所は、前各項に定める試験において、永久歪、亀裂、破損等の障害を生じないものでなければならない。
縦横互いの結合が外れる等ということになれば大変です。当たり前の事ですが、あえて明文化されています。
第9条第1項 避難はしごは、100回の展開及び収納の操作を繰り返す試験において、著しい変形、亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
非常事態に使用されるものですから、当然堅牢さを求められます。
第9条第2項 つり下げはしごのつり下げ金具は、その1個につき、当該はしごを伸ばした縦棒の方向に、当該はしごの最上部の横桟から最下部の横桟までの部分について2m又はその端数ごとに1500Nの引張荷重を加える試験において、著しい変形、亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
つり下げ金具は、避難者の荷重とはしごの自重を支える部分です。そのため規格上は、縦棒の50kgの試験荷重に対して、その3倍の150kgをかけて試験を行います。
第9条第3項 つり下げはしごの突子は、1本の横桟に取り付けられた突子について、縦棒及び横桟に対し同時に直角となる方向に150Nの圧縮荷重を加える試験において、著しい変形、亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
突子の役割は足の踏み場を確保することです。縦棒及び横桟に対し同時に直角になる方向とは防火対象物(建築物)の壁面に対して垂直に接する方向のことです。使用時にはしごと外壁に挟まれて押し潰される位置になりますので、圧縮荷重による試験となります。従って、はしごの表裏を間違えて使用すると、墜落事故の原因となりますのでご注意願います。突子部分において引張荷重での試験は行っていません。ご了承ください。
第9条第4項 避難はしごの横桟は、23N・mのトルクを用いる試験において、回転し、又は著しい変形、亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
避難者がはしごの横桟を握った時に、それが外れたり空回りしたりすることのないように設けられた規定です。
第10条 避難はしごは、JIS Z 2371(塩水噴霧試験方法)に定める試験方法により塩水を8時間噴霧した後に16時間放置することを5回繰り返した後、水洗いをして24時間自然乾燥させた場合、機能又は構造に異常が生じるおそれのある腐食を生じないものでなければならない。
海の近くにある防火対象物に設置された場合等を想定した規定です。実は以前から、日本消防検定協会の内規で、この試験自体は行われていましたが、今般の規格改正で正式決定したものです。
以上の規格に基づいて避難はしごは製造されております。普段から使用方法を良くお確かめの上、いざというときにご利用ください。

